男性ホルモンと聞くと、男性特有のものと思われがちですが、実は女性の体内でも少量ながら分泌されており、健康維持に重要な役割を担っています。しかし、そのバランスが崩れ、特に過剰に分泌されると、女性の身体に様々な不調をもたらすことがあります。今回は、男性ホルモンが女性の健康に及ぼす影響と、そのバランスを整えるために知っておくべきことについて深掘りします。女性の体内で分泌される男性ホルモンの主なものはテストステロンです。これは、性欲の向上、筋肉量や骨密度の維持、そして全体的なエネルギーレベルに寄与しています。しかし、その量が増えすぎると、体毛の増加、声の変化(低くなる)、ニキビの発生、月経不順、さらには不妊症の原因となる多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)のリスクを高めることがあります。PCOSは、卵巣に多数の小さな嚢胞ができ、排卵が正常に行われなくなる疾患で、男性ホルモンの過剰分泌がその一因とされています。では、なぜ女性の体内で男性ホルモンが過剰になるのでしょうか。主な原因としては、遺伝的要因、生活習慣(ストレス、睡眠不足、不規則な食生活)、肥満、特定の薬の副作用などが挙げられます。特に、インスリン抵抗性が高まることによって、卵巣からの男性ホルモン分泌が促進されることが分かっています。このため、高糖質、高脂肪の食生活は、男性ホルモンの過剰分泌を助長する可能性があります。このような状況に陥った場合、どのように対処すれば良いのでしょうか。まず、最も重要なのは、生活習慣の見直しです。バランスの取れた食生活は、ホルモンバランスを整える上で不可欠です。精製された砂糖や加工食品の摂取を控え、野菜、果物、全粒穀物、そして良質なタンパク質を豊富に含む食事を心がけましょう。特に、大豆製品に含まれるイソフラボンは、女性ホルモン(エストロゲン)に似た働きをすることで、男性ホルモンの影響を穏やかにする効果が期待されています。適度な運動も、ホルモンバランスの改善に役立ちます。肥満はインスリン抵抗性を高め、男性ホルモンの過剰分泌を助長するため、体重管理は非常に重要です。ウォーキングやヨガなど、継続しやすい運動を日々の生活に取り入れましょう。
男性ホルモンと女性の健康?知っておきたいこと