大学に入学し、新しい生活に胸を膨らませていたある日、鏡を見るたびに頭頂部の薄さが気になり始めた。最初は気のせいだと思っていたが、シャンプー後の抜け毛の量が増え、髪の毛が以前より細くなっていることに気づいたとき、不安が現実味を帯びてきた。インターネットで「若年性脱毛」という言葉を検索し、自分の症状がそれに合致していることを知った時の衝撃は忘れられない。まだ20歳にもなっていないのに、まさか自分が薄毛に悩むことになるとは夢にも思わなかった。友人の視線が気になり、外出がおっくうになる。サークル活動や飲み会でも、常に頭のことが頭から離れない。おしゃれをすることへの意欲も薄れ、自信を失っていく。そんな中で、薄毛対策について真剣に考え始めた。食生活の改善、ストレス軽減、そして育毛剤の使用。できることは何でも試してみようと決意した。しかし、一朝一夕に効果が出るものではないことも理解している。この長い戦いを、どのように乗り越えていけば良いのだろうか。大学のキャンパスで、多くの学生が流行の髪型を楽しんでいる姿を目にするたび、胸の奥で複雑な感情が渦巻く。自分も同じように髪のおしゃれを楽しみたいのに、年々薄くなる頭頂部がそれを許さない。友人との会話でも、髪の話題になるとすぐに口を閉ざしてしまう。特に、恋愛においては自信のなさから一歩踏み出せずにいる。好きな人ができても、「こんな自分では相手にされないだろう」というネガティブな思考が先行し、アプローチすらできない。夜、一人になると、未来への不安に押しつぶされそうになることもある。このまま薄毛が進行したら、社会人になった時、仕事や人間関係に支障が出るのではないか。そんな漠然とした恐怖と戦いながら、日々を過ごしている。しかし、いつまでも塞ぎ込んでいても何も解決しないことも分かっている。薄毛は個性の一つだと割り切り、前向きに生きていく方法を見つけなければならない。そのためには、まず自分自身の心を強くすることが大切だと感じている。
大学生活と若年性脱毛の現実