私が自分の髪の毛に異変を感じ始めたのは、社会人になって5年が経過した26歳の冬のことでした。それまでは髪が太くて量も多く、美容室に行くたびに「梳くのが大変ですね」と笑いながら言われるほどだったので、自分が薄毛に悩む日が来るとは微塵も思っていませんでした。きっかけは、職場の洗面所の鏡の下に置かれた強烈な蛍光灯の光でした。ふと頭頂部を映した時、いつもより地肌が白く透けて見えたのです。最初は光の加減だろうと自分に言い聞かせましたが、風呂上がりに髪を乾かしている時の手の感触が、以前よりスカスカしていることに気づき、背筋が凍るような感覚を覚えました。それからの毎日は、抜け毛を数える地獄のような日々の始まりでした。枕元に落ちている毛の数を数え、シャンプー時の抜け毛が排水溝に詰まるのを見ては溜息をつき、SNSで「何歳からはげる」というキーワードを検索しては、自分よりも深刻な状況の人を探して安心しようとする、そんな後ろ向きな自分に嫌気がさしました。友人との飲み会でも、誰かが薄毛の話題を出すと、まるで自分のことを言われているような被害妄想に陥り、心から楽しむことができなくなりました。20代という若さで髪を失う恐怖は、自信を根底から揺るがすものでした。恋愛に対しても消極的になり、帽子を手放せない生活が続きましたが、ある時、勇気を出して専門のカウンセリングを受けることに決めました。診断の結果は、初期のAGAでした。医師からは「20代で気づけたのは非常にラッキーです。今から対策を始めれば、30代になっても今の状態を維持できる可能性が極めて高いですよ」と言われ、その言葉に救われる思いでした。治療を始めて半年ほど経った頃、産毛のような新しい髪が目に見えて増えてきた時、ようやく私の心に平穏が戻りました。もしあの時、年齢を理由に現実から目を背けていたら、今頃はもっと深刻な状況になっていたはずです。薄毛は恥ずかしいことではなく、身体の変化の一部であり、早期に対処すればコントロールできるものだということを、当時の自分に教えてあげたいです。今では髪の状態も安定し、毎朝鏡を見るのが苦ではなくなりました。若くして変化に直面している皆さんに伝えたいのは、一人で悩まずに早めに専門家の門を叩くことが、心の健康を守るためにも最善の選択であるということです。
鏡を見て驚いた20代後半からの変化と心の葛藤