30代半ばから始まった薄毛の悩みに終止符を打つべく、私は意を決してAGAクリニックの門を叩きました。医師の診断を受け、期待に胸を膨らませながら処方された薬を飲み始めたのが1月のことでした。最初の1週間は何の変化もなく、これで本当に髪が生えてくるのだろうかと半信半疑ながらも、毎日欠かさず服用を続けました。異変が起きたのは10日が過ぎた頃でした。朝起きた時の枕元に、見たこともないような数の抜け毛が散らばっていたのです。それまでは1日に数本程度だったのが、明らかに30本、40本と増えていきました。最初は季節の変わり目か何かだろうと自分に言い聞かせましたが、さらに数日が経つと、洗髪時の抜け毛が100本を超え、排水溝の網が自分の髪で埋め尽くされる光景を目の当たりにしました。鏡を見ると、以前よりも頭頂部の地肌が透けて見えるようになり、私は激しいパニックに襲われました。髪を増やすために始めた治療が、逆に自分を禿げさせているのではないか、自分だけが薬の副作用で取り返しのつかないことになっているのではないかという恐怖で、夜も眠れなくなりました。これが噂に聞く初期脱毛だとは頭では分かっていましたが、実際に自分の髪がこれほどまでに抜け落ちていく現実を前にすると、理論などは何の慰めにもなりませんでした。何度もクリニックに電話をして薬を止めたいと訴えましたが、医師は落ち着いた声で、それは薬が効いている証拠ですよ、今が1番辛い時期ですが乗り越えれば必ず生えてきますから信じてください、と励ましてくれました。その言葉を信じて、私は震える手で毎日薬を飲み続けました。生え際が以前より後退したように見える自分を直視できず、外出時は常に帽子を深く被り、友人と会うのも避けるようになりました。精神的に最も追い詰められていたのが、開始から4週間目のことです。シャワーを浴びるたびに手のひらに絡みつく無数の毛を見て、声を上げて泣きそうになったこともあります。しかし、5週間を過ぎた頃、あんなに激しかった抜け毛が嘘のようにピタリと止まりました。そして2か月が経過した頃、鏡を食い入るように見つめると、生え際に黒々とした産毛が無数に生え揃っているのを発見しました。あんなに細くて弱々しかった産毛が、日を追うごとに太く成長し、3か月を過ぎる頃には、かつての薄さが嘘のように地肌が隠れ始めたのです。あの時、恐怖に負けて薬を止めていたら、今の自分はありません。初期脱毛は、新しい人生を手に入れるための厳しい入社試験のようなものでした。2400字を費やしても語り尽くせないほどの苦しみがありましたが、その先にある喜びはそれ以上に大きなものでした。今、同じように初期脱毛の渦中で絶望している人がいるなら、どうか諦めないでください。あなたの体は今、一生懸命に古い髪を捨て、最強の髪を作ろうとしている真っ最中なのです。その嵐の先にこそ、あなたが求めていた理想の自分があることを、私のこの経験が証明しています。