待望の第1子を出産し、幸せの絶頂にいた私を待ち受けていたのは、想像を絶する抜け毛という試練でした。産後3か月が経過したある日、お風呂に入って髪を洗っていた私は、排水溝に溜まった異様な量の髪の毛を見て声を失いました。それまでは髪の多さが悩みだったはずなのに、指を通すたびに束になって抜けていく感覚に、言いようのない恐怖を覚えたのです。朝起きれば枕には無数の髪が散らばり、ブラッシングをすればブラシの隙間が数秒で埋まってしまう。鏡を見るたびに広がる額の生え際と、心許なくなった分け目を見て、私は「このまま全ての髪を失ってしまうのではないか」と1人で泣き続けました。育児の疲れと寝不足が重なり、精神的にもボロボロだった私に、母がそっと教えてくれたのは「産後の脱毛は体内のホルモンが元に戻ろうとしている証拠」という言葉でした。妊娠中に高まっていたエストロゲンが一気に減少することで、抜けるはずだった髪がまとめて抜けているだけだという医学的理由を知り、少しだけ心が軽くなりました。そこから私は、今の自分にできることを1つずつ始めました。まずは食事です。赤ちゃんへの授乳で栄養を摂られる分、自分の体にはタンパク質と鉄分が圧倒的に不足していることに気づきました。納豆、豆腐、赤身の肉、そして亜鉛のサプリメントを意識的に摂取し、髪の材料を補うことに努めました。また、短時間でも質の良い睡眠が取れるよう、夫に協力してもらい、夜間の授乳を交代する体制を整えました。さらに、生え際の地肌が目立つ部分には、頭皮に優しい育毛エッセンスを使い、指の腹で優しくマッサージする時間を1日の終わりの贅沢な儀式にしました。驚いたことに、産後半年を過ぎた頃、あんなに寂しかった生え際にツンツンとした短い産毛がたくさん生えてきたのです。それはまるで、新しい命の成長と同じように、私の体が再び再生し始めた証のように見えました。1年が経過した今、私の髪は以前よりも1本1本がしっかりとし、以前のようなボリュームを取り戻しています。この経験を通じて学んだのは、髪の変化は体の内側からの切実なSOSであるということです。自分の体を労わり、焦らずに時を待つことの大切さを、私は髪の毛から教わりました。
産後の抜け毛に直面した私の苦悩と回復の道のり